数年にまたがる契約に係るお金を一括で受ける場合には平均課税を検討する

・プロスポーツ選手が契約の際に年棒の他に受け取る契約金

・借地権設定の際に受け取る権利金

・賃貸契約の更新の際に受け取る更新料

など一括でお金を受け取る場合があります。

所得税は累進税率(所得金額が大きければ税率が高く)を適用しています。

そのため、所得金額が多額であると、高税率の税額がかかり手取金額が減ります。

その場合には、平均課税が適用できるか検討しましょう。

平均課税とは?

平均課税とは、数年にわたって効果がある一時に受け取る金額について、一律に超過累進課税を適用するのではなく、所得金額を数年にならして税額を計算する方法です。

例えば、わかりやすく年収600万円の人が5年分の3000万円を一括で受け取る例を考えると、3000万円に累進課税が適用されます。

・600万円に5年間の場合

・3000万円に1年の場合

を比較した際には、後者の方が納税額が増えてしまいます。

この状態を避けるために、平均課税とは所得を数年で割って平坦にしてから課税する制度です。

平均課税の適用を検討するケース

一時に受け取る金額が、

・3年以上の契約や期間に係るもの

・報酬や使用料の年額2倍以上

である場合には、臨時所得に該当し、平均課税の適用を検討します。

平均課税の適用要件

下記の算式を満たす場合には、平均課税の適用があります。

臨時所得の金額(収入から経費を引いた金額) ≧ 総所得金額 × 20%

計算方法

最初に超過累進税率を乗じる前に、平均課税の対象となる所得のうち4/5部分を控除します。
(控除後の金額には1/5部分が含まれています)

課税総所得金額 - 臨時所得の金額×4 /5 = A

Aに超過累進税率で税額を計算します。

A × 超過累進税率 = B

ここのBには、臨時所得の1/5部分の税額が含まれています。

残りの4/5部分については、超過累進税率を適用せずに、上記で計算した実効税率(B/A)を適用して計算します。

(課税総所得金額-A) × B/A = C

最後にB+Cを合計した金額が算出税額となります。

具体例

総所得金額1200万円、課税総所得金額1000万円、契約金800万円(契約期間3年、年間使用料300万円、必要経費はないものとし、契約金=臨時所得の金額とする)の例でみていきます。

1.まずは平均課税の対象となるか判定します。

・契約期間3年≧3年

・契約金800万円≧300万円×2

・臨時所得800万円≧総所得金額1200万円×20%=240万円

∴適用あり

2.次に第一段階の税額を算出します。

課税総所得金額1000万円 ー800万円×4/5= 360万円

360万円 × 超過累進税率(20%-427,500)=292,500円

3.臨時所得の残りの部分について、第二段階の税額を算出します。

課税総所得金額1000万円ー360万円=640万円

640万円 × 292,500 / 360万円(0.08)=512,000円

4.最後に合計します。

第一段階292,500 + 第二段階512,000=804,500

仮に課税総所得金額1000万円にそのまま超過累進税率を適用すると、

1000万円×33%-1,536,000=1,764,000円

となり平均課税を適用した方が有利なことがわかります。

おわりに

数年にまたがる契約に係るお金を一括で受ける場合の平均課税の適用から計算方法まで説明しました。

平均課税が適用できるケースは、納税額の負担を減額することができます。

必ず適用しましょう。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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