日本法人の役員が非居住者として海外勤務をする場合に支払う役員報酬は源泉徴収が原則必要

日本法人の役員が1年以上日本を離れて海外勤務することとなる場合には、非居住者になります。

通常非居住者であれば、国外勤務に対応する報酬部分については、日本では非課税です。

しかし法人の役員の場合には、取り扱いが異なるので注意が必要です。

役員の場合は法人の所在地国で課税する

日本法人に所属する役員が、海外勤務により非居住者になったとしても、日本法人から支払われる役員報酬は日本で課税されることになります。

税法上、その役員が属する法人の所在地国で課税することと規定されており、支払う役員報酬から源泉税20.42%徴収します。

租税条約はどうなっているか?

租税条約においても、基本的には法人の所在地国で課税することを規定しています。

例えば、米国との租税条約では、

第十五条

一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約国において租税を課すことができる。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/press_release/sy151107a1.pdf

と規定されています。

一方の締約国の居住者:アメリカの居住者→日本の非居住者

他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬:日本の居住者である法人→日本法人の役員に対する役員報酬

当該他方の締約国において租税を課す:日本において課税する

以上のように、米国との租税条約では法人の所在地国で課税することとなっています。

ただし、国ごとに租税条約の内容が異なるので、日本と赴任先国との租税条約の内容確認は必要です。

例外

ただし、次に該当する場合には、日本で課税されません。

1.海外支店長や工場長のように日本法人の従業員として常時勤務している場合
(情報提供や現場支援をしている場合は除きます)

2.海外子会社に勤務している場合には、

・現地の特殊事情により子会社を設置しなければならないが、実質的に日本法人の海外支店と変わらない

・子会社での勤務が内国法人の命令に基づくもので、内国法人の従業員(支店長や工場長など)としての勤務に相当する

のいずれの要件を満たしている場合

おわりに

今回は日本法人の役員が非居住者として海外勤務をする場合に支払う役員報酬は、源泉徴収が原則必要であることを書いてきました。

1年を超えて海外勤務することで、役員が非居住者になる場合には、源泉税の取り扱いに注意が必要です。

-----------------------------------------------------------
都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

ホームページ(Home) 
プロフィール(Profile)
ブログ(Blog)
個人の方(料金表)(Individual-fee)
法人の方(料金表)(Corporate-fee)
お問い合わせ(Contact)