マンションの相続税評価額の計算方法が見直されることになりました

以前から相続開始前にマンションを取得する節税スキームが問題となっていましたが、いよいよ改正される見通しとなりました。

なぜ節税できるかというと、

・現金で財産を所有していた場合より、マンションの相続税評価額の方が低い

・借入をすることで、さらに相続税の計算上債務として控除することができる

からです。

現金資産よりもマンションの方が評価額が低くなっているのは、マンションは現金に比べ換金しにくいためです。
(相続税の納付は原則現金一時払いのため)

そのため、評価基準を概ね市場価格の7-8割程度になるよう定めています。

しかし、実態としてはマンションの半数以上の相続税評価額が市場価格の5割以下となっていました。

改正内容案

現在のところ、マンションの相続税評価額を下記の通り見直す案が出ています。

現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離率×0.6

簡単に言うと、市場価格理論値の6割で評価することとなります。

具体的には、

1.現行の相続税評価額に一定の評価乖離率を乗じて市場価格理論値を算出します。
(評価乖離率には、マンションの築年数、総階数、所在階、敷地持分狭小度が考慮されます)

2.その市場価格理論値の6割を評価水準の最低ラインとします。

3.現行の相続税評価額<改正後の相続税評価額である場合には、改正後の相続税評価額を適用します。

4.現行の相続税評価額>改正後の相続税評価額である場合には、現行の相続税評価額を適用します。
(ただし、現行の相続税評価額>市場価格理論値(0.6を乗じる前)である場合には、市場価格理論値を上限とします)

詳細の計算方法はこちらから。

適用時期は、2024年1月1日以降の相続又は贈与により取得した財産が対象となる見込みです。

購入時期は関係ありません。既に所有しているマンションを2024年1月1日以降に相続又は贈与した場合には、改正後の評価方法が適用となります。

検討

今回市場価格の6割が評価最低基準として示されたことの理由として、一戸建ての相続税評価額と市場価格との乖離割合の平均が市場価格の6割であったことがあります。

マンションの評価額を一戸建ての評価額に合わせる形の改正となりましたが、他の財産と不動産の評価との整合性を考える視点もあっても良いのかもしれません。

他の財産と比較しても、市場価格の6割で評価することは、以前として不動産を所有することで節税することが可能です。

抜本的な評価方法の見直しが行われなかったのは、不動産市場に一定の配慮をしたことが背景にあるのでしょう。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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