特定の資産の買換えの特例を適用するために新たに届出書の提出が必要になりました【同一事業年度に譲渡し買換えた場合】

特定の資産の買換えの特例とは、簡単にいうと、一定の条件を満たした資産の譲渡益のうち一定割合を、買換え取得した資産の取得価額から控除する規定です。
(専門用語で圧縮記帳といいます)

新たに取得した資産の簿価を圧縮することで、課税の繰り延べ効果があります。
(今回新たに取得した不動産を譲渡した時に、繰り延べた譲渡益が実現します)

例えば、

譲渡する不動産:売却額 1億円 – 取得費 3,000万円 = 譲渡益 7,000万円

新たに取得する不動産:取得費 1億円

繰り延べ割合:80%

とすると

譲渡益7,000万円のうち80%部分の5,600万円について、新たに取得する不動産の簿価1億円から控除します。

結果として、簿価は1億円-5,600万円=4,400万円 となります。

この規定について、2023年度税制改正により改正がありました。

改正内容

2023年度税制改正により

・繰り延べ割合が変更

・同一事業年度に特定の資産を譲渡し買換え資産を取得した場合に、届出書の提出が必要

になりました。

特に届出書の提出が必要になった点は留意すべき所です。

提出時期は事業年度の4半期ごとの末日の翌日から2月以内です。

例えば、3月決算法人では、届出書の提出期限は下記の通りになります。

譲渡日又は取得日(いずれか早い日)届出書提出期限
4-6月8月
7-9月11月
10-12月2月
1-3月5月

適用開始時期

2024年4月1日以降に、同一事業年度内に資産を譲渡又は買換え資産を取得した場合に、届出書の提出が必要になります。

なお、買換え資産を先行して取得する場合については、従来より届出書の提出が必要でした。

こちらの届出書の提出は引き続き必要ですが、改正により、記載事項に変更が加わります。

おわりに

今回は特定の資産の買換えの特例について、2024年4月1日以降に適用される届出書の提出について書いてきました。

届出書を提出期限までに提出できなければ、原則として規定が適用ができなくなりますので注意が必要な改正内容です。




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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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