個人事業主フリーランスが生活を共にしている親族に払う経費は注意が必要【原則経費にならない】
個人事業主やフリーランスの方が事業をしていく中で、
・生活を共にする親族が所有している不動産を借りる
・生活を共にする親族に事業手伝ってもらい給与を払う
こともあるでしょう。
その場合、事業主本人と生計が一つになっている親族へ払う経費は、事業所得又は不動産所得の経費に計上することができません。
(もらった親族も収入にはなりません。)
※別生計であれば経費になります。もらった親族も収入になります。
また、生計が一の親族が所有している不動産の賃料・地代を支払っている場合には、本来その親族が経費として計上すべき減価償却費、固定資産税、損害保険料、修繕費などの費用を、事業主の経費として計上することができます。
つまり所有者側が負担した費用を、借りている事業主の経費として計上できます。
今回は同一生計の親族へ払う事業経費について書いていきます。
同一生計とは
事業主と同一生計の親族に支払う賃料・地代・給与については、経費になりません。
(もらった親族も収入にはなりません)
ここで同一生計とは、事業主本人と共に生活していることを意味します。
同居の場合(二世帯住宅で生活費を別にしている場合を除きます)はもちろん、
単身赴任、高校・大学通学、療養のために別居していたとしても、
・常に生活費・学費・療養費を送金している
・余暇には共に生活している
場合には同一生計に該当します。
同一世帯として収支を考える
通常事業主が第三者へ家賃を支払う場合のそれぞれの収支は、
・事業主
経費:家賃10万円
・第三者
収入:家賃10万円
経費:固定資産税8万円
となります。
しかし、同一生計親族へ家賃を支払う場合の収支は、
・事業主
経費:家賃10万円 固定資産税8万円
・同一生計親族
収入:家賃10万円
経費:固定資産税8万円
となります。
家賃はそれぞれ相殺され、残った固定資産税を事業主の経費とすることができます。
このように同一生計間で経費のやり取りがある場合には、同一世帯として収支を考えます。
経費にするためには
・届出をして給与を経費にする
個人事業で同一生計親族への給与を経費にするためには、届出が必要です。
(「青色事業専従者給与に関する届出書」といいます)
届出は
・青色申告をしている
・親族が15歳以上であること
・1年で6ヶ月を超える期間働いている
などの要件を満たしている必要があります。
また、
・届け出た給与以上の支払いをする場合
・労働に対して不相当に高額な給与を支払う場合
には、その超過する部分は経費になりません。
・法人成りして経費にする
個人事業を法人成りし、法人として同一生計親族に給与を払えば経費になります。
家賃や地代も同様に経費になります。
個人事業の場合とは異なり、事前の届出も必要ありません。
ただし、過大な給与の支払いについては、先ほどの個人の場合と同様に経費にならない部分があるので注意が必要です。
例えば、相場が10万円の仕事に対し50万円の給与を支払う場合には、10万円が経費なり40万円は経費なりません。
おわりに
同一生計親族間の支払いは金額をコントロールしやすいので経費にできる金額に制限があります。
税負担を少なくするための意図がなくても、規定により経費にならないので注意が必要です。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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