非居住者として退職金を受け取る時の注意点【退職所得の選択課税】
非居住者として退職金を受け取る場合、
退職金のうち国内で勤務した期間分について課税がされ、
(内国法人の役員の国外勤務は原則国内勤務扱いになるので注意)
支給額の20.42%の源泉税の天引きにより課税が完結します。
勤務のほとんどが国外であった場合には納税額に大した影響はありません。
しかし退職金の計算期間のほとんどが国内勤務であった場合には、
原則的な退職所得の税額計算よりも、納税額が過大となります。
そこで特例として、退職所得の選択課税という制度があります。
退職所得の選択課税
退職所得の選択課税とは、
非居住者が受け取った退職金について、
国内勤務、国外勤務を含めた退職金の全額を居住者として支給を受けたものとして、
申告することができます。
源泉徴収税の精算は申告を通じて行います。
具体例を確認します。
勤続40年(国内勤務30年国外勤務10年)で退職金が2000万円を非居住者として受け取った場合を考えます。
まずは原則から。
非居住者は国内源泉所得が課税対象となるので、
退職金2500万円を国内勤務期間分に相当する部分に按分します。
(2500万円×30年/40年=1875万円)
これに源泉税がかかり課税完結です。
(1875万円×20.42%=3,828,750円)
続いて選択課税の特例に基づいて計算します。
退職金の全額を居住者として受けたものとして計算します。
退職金が2500万円。
ここから控除する金額(退職所得控除)が、
800万円+70万円(40年-20年)=2200万円
差引300万円。
これを1/2して、超過累進税率を乗じます。
300万円×1/2×5.105%=76,575円
この申告により、
76,575円-3,828,750円=△3,752,175円が還付となります。
申告期間と申告方法
退職金の支給があった年の翌年1月1日から5年間還付申告することができます。
(退職金の支給が2025年であった場合には、2026年1月1日から2030年12月31日まで)
非居住者の方は原則として日本国内にいる納税管理人を指定し、還付申告を行います。
還付申告を希望される場合には、一度ご相談ください。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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