源泉税の対象となる国際取引はどう判断する?

源泉税のポイントは支払者に納税義務がある点です。

源泉税の対象となる報酬の支払いについてその納付していない場合には、

報酬の支払者が納付しなければなりません。

支払った報酬が国際取引である場合には判断が複雑化します。

報酬を支払った場合には、

源泉徴収の有無について次のステップを踏むことが欠かせません。

1.支払った相手が居住者か非居住者か

2.その支払いは国内源泉所得か国外源泉所得か

3.支払い場所は国内か国外か

4.租税条約ではどのように規定されているか

Step1、2

最初に支払い相手が居住者か非居住者かを判断します。

そのうえで、支払った金額が国内源泉所得に係るものか国外源泉所得に係るものかを判定します。

その報酬がそもそも課税対象か否かをまとめると下記の表になります。

支払相手国内源泉所得国外源泉所得
居住者課税対象課税対象
非居住者課税対象課税対象外

Step3

次に、支払った場所が国内か国外かを判断します。

最終的に源泉徴収の有無は以下の表のようにまとめることができます。

〇居住者に支払う場合

所得源泉地\支払地国内払国外払
国内源泉所得源泉徴収要源泉徴収不要
国外源泉所得 源泉徴収要源泉徴収不要

〇非居住者に支払う場合

所得源泉地\支払地国内払国外払
国内源泉所得源泉徴収要国内事務所等があれば源泉徴収要
国外源泉所得源泉徴収不要(課税対象外)源泉徴収不要(課税対象外)


ポイントは、

・国内払いである場合には基本的に源泉徴収が必要

・ただし非居住者の国外源泉所得にかかるものは国内で払っていても源泉徴収不要
(そもそも課税の対象外であるため)

・国外払である場合には基本的に源泉徴収は不要

・ただし非居住者の国内源泉所得について国外で支払われる場合であっても、支払者が国内事務所を有していれば源泉徴収が必要

です。

Step4

最後に租税条約を確認します。

国内法では実際の役務提供地の国で課税をする使用地主義をとり、

租税条約では支払った者の国で課税をする債務者主義をとるケースが多いです。

たとえば、日印租税条約では「技術上の役務に対する料金」については、

支払者側の居住地国内で生じたものとされると規定されています(日印租税条約12⑥)

つまりインド在住の非居住者に当該租税条約の対象となる報酬を支払った場合、

役務提供地が国外であっても、国内源泉所得として源泉徴収が必要となります。

おわりに

国際源泉課税は税務調査において納付漏れが指摘されやすい点です。

支払った報酬につき源泉徴収有無の適切な判断をするためには、

一つ一つ段階を追って確認することが欠かせません。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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