100%子会社へ固定資産を譲渡売却する場合には損益は繰延られる【譲渡損益調整資産の損益の繰延べ】

グループ会社間の調整で、親会社が所有する固定資産を子会社へ譲渡する場合もあるでしょう。
(子法人から親法人へのパターンも)

しかし、譲渡先の子会社が親会社の持分100%の子会社であり、譲渡する固定資産の譲渡直前の簿価が1,000万円以上である場合には、親会社で生じる譲渡損は法人税の計算上経費になりません。
(譲渡益が出る場合については、法人税の計算上利益になりません)

専門用語で「譲渡損益調整資産の損益の繰延べ」といいます。

今回は本制度について簡単に書いていきます。

対象法人

親会社と親会社が100%の持分を所有している子会社間の取引が対象です。
(原則としては、法人グループ全体で100%の持分関係がある法人間の取引が対象です)

※親会社の100%孫会社や100%兄弟会社間との取引も対象となります。

※子会社から親会社へ譲渡する場合も対象となります。

※外国法人は対象外です。

対象資産

・固定資産(建物、土地、車両、器具備品など)

・棚卸資産である土地、借地権

・有価証券(売買目的であるものを除きます)

・金銭債権(売掛金、貸付金)

・繰延資産

※上記の資産の譲渡直前の帳簿価額が1000万円未満である場合には、適用対象外です。

調整方法

決算書上は、譲渡益・譲渡損が計上されます。

しかし、法人税を計算する場合には譲渡益と譲渡損をそれぞれ減算・加算します。

結果として、譲渡益と譲渡損がないものとして計算されます。

損益の実現はいつか

本制度はあくまで損益を繰延べる制度です。

一定の要件を満たせば、損益は実現されます。

主な要件は下記の通りです。

・譲り受けた資産を他へ譲渡した場合

・持分関係が100%でなくなった場合

おわりに

今回の制度はグループ間での円滑な資産移転を目的としています。

他方、グループ間の利益調整を防止する側面もあります。

グループ間で資産を移動させる場合には、注意が必要な所です。



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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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