相続した空き家を売却する場合の3000万円控除できる制度は2024年1月1日以降は条件が緩和される【耐震工事・取り壊しは翌年2月15日までにすれば良い】

空き家問題が叫ばれるようになってから時間が経ちますが、以前として問題解決には至っていません。

祖父母・両親・兄弟姉妹が住んでいた家を相続したけれど、その後空き家のままになっている場合などです。

理由として、

・現状では買い手がつかない

・改修や取り壊すには費用がかかる

・家がある状態の方が土地の固定資産税が安くなる

ことが挙げられます。

税制上も空き家問題の解消を後押しする形で、2016年以降相続した空き家を売却した場合(売却金額が1億円以下に限定)には、譲渡所得から3000万円控除できる制度が創設されました。
(売却益のうち3,000万円までは非課税)

しかし、条件として売却する前に、

・耐震基準を満たした工事をする

・建物を取り壊す

必要がありました。

このため、

・売却前に現金支出が先行する

・工事をしても実際売れるかどうかわからない

ことから、本制度の適用がしにくい状況でした。

しかし今回の改正で、空き家を売却した年の翌年2月15日までに、耐震工事又は取り壊しをすれば、3,000万円控除を適用することができるようになりました。
(2024年1月1日から2027年12月31日までの間で適用)

売却年の翌年2月15日までに工事をする

相続した空き家を売却し、その売却日の翌年2月15日までに、

・耐震基準を満たした場合

・全部を取り壊した場合

には3,000万円控除できることとなりました。

つまり売買契約を先にして、工事・取り壊しを後にすることが可能となったのです。

売買が決まっていれば、工事・取り壊し費用がかかったとしても、売買代金で回収できれば資金面の不安は軽減されます。

適用は2024年1月1日以降から2027年12月31日までの間の売却が対象です。

相続人が3人以上いる場合には控除額が減る

今回の改正のもう1つが、相続人3人以上いる場合には控除額が3,000万円から2,000万円に減ります。

空き家を共有している場合、それぞれの相続人で3,000万円の控除が可能です。

以前は相続人の数に限らず3,000万円控除が適用できました。

しかし、改正により2024年1月1日以降に空き家を売却する場合で、相続人が3人以上であるときは、2,000万円控除することとなりました。

空き家を相続した相続人が3人以上いる場合で、空き家の譲渡所得がそれぞれ2,000万円を超えることが見込まれる場合には、2023年中に売却されるのも良いかもしれません。

おわりに

今回は空き家を売却した際の3,000万円控除の改正内容について書いてきました。

条件が緩和され、以前より使い勝手が良くなりました。
(未だ満たさなければならない条件は多いですが)

将来的に、本税制が空き家問題の解消の後押しにつながることを願っています。

-----------------------------------------------------------
都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

ホームページ(Home) 
プロフィール(Profile)
ブログ(Blog)
個人の方(料金表)(Individual-fee)
法人の方(料金表)(Corporate-fee)
お問い合わせ(Contact)