決算時に従業員賞与を未払計上して節税する方法【メリットとデメリット】
利益が出た時の節税対策として、決算時に従業員賞与を未払計上する方法があります。
今回は、そのメリット・デメリットについて書いていきます。
メリット
・賞与を未払計上することで納税額を減らすことができる
通常賞与は、支払ったタイミングで経費にします。
しかし、一定の要件を満たすと、経費として未払計上することができ、納税額を減らすことが可能です。
(要件については、デメリットの最後に記載)
・賃上げ税制により、さらに納税額を減らすことができる可能性がある
前期より従業員の給与支給額が2.5%増加した場合、法人税額の30%を税額控除することができます。
(1.5%増加した場合には、法人税額の15%)
期末に賞与を計上することで、当期の給与支給額が増加し、税額控除を受けることができる可能性が高まります。
・従業員のモチベーション向上につながる
期末賞与を払うことで、従業員のモチベーション向上につながります。
昨今物価が上昇してますので、なおさら効果的でしょう。
デメリット
・賞与を支払うことにより現金が減る
例えば、法人の利益が1,000万円、賞与支給額200万円、法人税率30%、社会保険料率15%(会社負担分)とします。
A.賞与の支給をしない場合
納税額:1,000万円×30%=300万円
手元に残るお金:1,000万円-300万円=700万円
B.賞与の支給をする場合
納税額:(1,000万円-200万円)×30%=240万円
社会保険料:200万円×15%=30万円
手元に残るお金:1000万円−200万円−240万円−30万円=530万円
賞与の支給の有無で比較すると、賞与を支給することで60万円節税できます。
しかし、賞与を支払うことにより結果として、170万円手元に残るお金が減ります。
・一定の要件を満たさなければならない
当期に未払賞与を経費にするためには、下記の3つの要件を満たすことが必要です。
A.従業員に賞与の支給額を当期期末までに通知している
(賞与の支給日に在籍していない従業員に支給しない場合には、未払計上は認められません(当期末時点で債務が確定していないため))
B.当期に通知した賞与の支給額を未払計上している
C.来期期首から1ヶ月以内に通知した賞与支給額を支給している
おわりに
今回は決算時に従業員賞与を未払計上して節税する方法のメリット・デメリットについて書いてきました。
賞与を支払うことで、節税できるとはいえ、手元現金が減ることになります。
資金繰りにゆとりがある場合には、検討の余地があるでしょう。
-----------------------------------------------------------
都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
ホームページ(Home)
プロフィール(Profile)
ブログ(Blog)
個人の方(料金表)(Individual-fee)
法人の方(料金表)(Corporate-fee)
お問い合わせ(Contact)