開業して給与報酬を支払う場合には源泉所得税の納期特例の申請を検討する【メリットとデメリット】

開業して従業員を雇い給与を払う場合、法人で役員給与を支払う場合、税理士報酬など士業に報酬を支払う場合には、一定額の所得税を天引きする必要があります。

天引きした所得税(以下「源泉所得税」といいます)については、給与・報酬を支払った月の翌月10日までに税務署へ納付しなければなりません。

一方、従業員数が常時10人未満である場合には、税務署へ申請書を提出することにより、源泉所得税の納期の特例を受けることができます。
(主に給与と士業への報酬に対する源泉所得税が対象となります。配当や原稿料デザイン料などの報酬に対する源泉所得税については特例の適用はできません)

納期の特例の適用を受けると、天引きした源泉所得税を半年に1回まとめて納付することができます。

まとめると、

原則:翌月10日までに払う

特例:半年に1回(1−6月分を7/10までに、7−12月分を1/20までに)まとめて払う

ということになります。

どちらを選ぶかは事業者次第です。

今回は源泉所得税の納付の特例を受けるメリット・デメリットについて書いていきます。

納期の特例を受けるメリット

納付手続きの手間を減らすことができる

毎月納付することになると、その都度納付書の作成や納付書データの作成、納付の手間が発生します。

半年に1回であれば、納付手続きの手間を1/6に減らすことができます。

・納付額を年末調整還付金と前倒しで相殺することができる

特例を受けている場合には、7−12月納付分を1/20にまとめて納付することになります。

12月に年末調整をし、還付金がある場合には、7-12月納付分と還付金を相殺することができます。

例えば、2023年7−12月分の源泉所得税の納付額が20万円、年末調整の還付額が△5万円とします。

特例の場合、1/20に納付する源泉所得税は、

20万円-5万円=15万円となります。

一方原則の場合、還付額と相殺できるのは12月納付分のみです。

相殺できなかった年末調整の還付額については、2024年1月以降に生じる源泉所得税と相殺することになります。

つまり原則の場合は、キャッシュの支払いが先行することになります。
(最終的には原則特例どちらも同じ納付額になりますが)

納期の特例を受けるデメリット

・資金繰りを圧迫する可能性がある

半年分をまとめて納付することになるので、資金繰りを圧迫する可能性があります。

源泉所得税納付相当分については、毎月別途貯めておくなどの対応が必要になります。

・納付を忘れてしまう可能性がある

毎月納付していれば、ルーチン化されているので納付漏れになることは少ないでしょう。

半年に1回の納付であると、慣れるまでは納付することを忘れてしまう可能性があります。

まとめ

源泉所得税の納期の特例制度について説明してきました。

毎月払うか半年払うかは本人の性格によります。

メリット・デメリットを検討の上、やりやすい方法を選択されるのが良いと思います。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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