住宅ローンがある家を売却して賃貸に住む場合に使える節税法【売却損又は売却してもローン残債がある場合は給与所得・事業所得・不動産所得と4年間相殺できる場合がある】

現在物価高騰が続いており、生活コストが上昇し続けています。

家計のやりくりをするために、固定費である住居費を少なくする方もいるでしょう。

方法の一つとして、住宅ローンがある家を売却して賃貸物件へ引っ越すケースが考えられます。

その際売却損が出る場合や売却額を住宅ローンの返済に充てても住宅ローンを全額返済できない場合もあるでしょう。

そのようなケースで一定の要件を満たしている時は、一定額を給与所得・事業所得・不動産所得と相殺することができるので、節税が可能です。

今回はその制度について書いていきます。

対象者

・売却した年の1月1日における所有期間が5年超である

例えば2023年に売却した場合には、2017年以前に取得した家が対象です。

売却した日に10年以上返済期間がある住宅ローンがある

※青色申告でも白色申告でも関係なく適用できます。

※売却する不動産は、家、土地いずれも対象です。

所得と相殺できる金額

下記のいずれか低い金額です。

・売却損
(売却額-家の取得費-譲渡費用)

・住宅ローン残額-売却額
(売却額をもってしても住宅ローンを返済できない部分(オーバーローン部分))

例えば、売却額:4,000万円(売却損1,200万円)、住宅ローン残高:5,000万円である場合には、

・売却損1,200万円

・5,000万円-4,000万円=1,000万円

よって低い金額の1,000万円が所得と相殺できる金額になります。

※損失が生じた年で各種所得と相殺できなかった金額は、翌年以後3年間繰越して相殺することができます。
(実質的に4年分の所得と相殺できます)

適用要件

・確定申告書と契約書・謄本・住民票・ローン残高証明書などの書類を提出すること。
(初年度は期限内に確定申告書を提出すること。相殺できない金額を繰り越す場合には、その後連続して確定申告書を提出していること)

適用除外

・合計所得金額が3,000万円を超える場合

超えた年については、各種所得と相殺できません。

同一生計親族など生活面で繋がりが深い個人や法人に家を売却した場合
(別生計であれば適用できます)


・前年と前々年に住宅の売却益に係る特例(3,000万円控除)などを受けている場合

・その年と前年以前3年以内に住宅の売却損に係る特例(本制度など)を受けている場合

※住宅ローン控除との併用は可能です。

おわりに

本制度は、家を売却しても住宅ローンが残ってしまう方の再スタートを支援する制度です。

要件を満たす場合には、ぜひ適用をご検討ください。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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