資金繰りを改善するにはどうすればよいか【まずは現状把握する】

安定した事業をするには、資金繰りを円滑にすることは欠かせません。

また、資金繰りが苦しくなると、そのことばかりに気を取られ本業がおろそかになりかねません。

そこで、今回は資金繰りの改善の対応法と現状把握の大切さについて記載しました。

なぜ資金繰りが重要か

  • 事業の存続ができなくなる

    資金繰りが悪化し、取引先への支払いや金融機関への借入金返済が滞ると、事業は存続できなくなります。
  • 黒字倒産の可能性も

    在庫は将来的に販売することでキャッシュを得ることができるという意味において、資産として認識されます。

    逆に販売できなければ、キャッシュを得ることができず、在庫を購入する際に支出したキャッシュを回収することができないのです。

    損益の計算上、期末在庫は売上原価に含まれないので、多額の在庫を抱えている場合「利益が出ているが資金繰りが苦しい」という状況に陥ってしまう可能性があります。
  • 悪循環になってしまうことも

    支払いに対し十分なキャッシュがなければ、なんとしてでも稼がなくてはなりません。

    そのため仕事を受注するため売上単価を下げ、こなす仕事を増やし、労働時間が増え、疲労が蓄積し、仕事効率が下がり、十分な売上が確保できず・・・という悪循環になってしまい、仕事をした割に結果としてキャッシュが手元に残らないことも想定されます。

資金繰りが苦しくなる原因

  • 固定費をカバーする利益(売上-原価)が出ていない

    基本的に、利益>固定費の循環ができていればキャッシュは増加します。

    逆に、利益<固定費であれば、キャッシュは減少していきます。

    いわば、バケツに水を注ぐ水量(利益)より、バケツの下の穴から漏れ出る水量(固定費)が多ければ、いくら水を注いでもバケツの中に水(キャッシュ)がたまらないことと同じことです。
  • 入金より支出が先になる

    例えば、仕入の支払いが翌月末、売上の入金が翌々月10日である場合、売上の入金前に仕入れの支払いをする必要があります。

    手元に十分なキャッシュがない場合には、期日までに仕入の支払いをすることができなくなってしまいます。
  • 売掛金の回収遅延、在庫の増加

    売掛金、在庫は代金回収をして初めてキャッシュを得ることができます。

    売掛金の回収が遅延したり、在庫が増加してくると、手元キャッシュが減り、徐々に資金繰りが苦しくなっていくでしょう。

対応策

  • 利益・固定費を見直す

    利益<固定費の構図が続けば続くほどキャッシュは減少していきます。

    借入で一時的にキャッシュを増やしたところで、問題を放置したままでは、延命措置に過ぎません。

    構図を解消するためには、

    利益を上げる手段として
    ・売上単価や販売先を増やす
    ・原価率を見直す
    ・赤字になりそうな仕事は受けない

    固定費を下げる手段として
    ・費用対効果が見られない不必要な支出は削減する

    といったような対策が必要です。

    それでも、状況が改善せず長期的に見ても資金繰りが困難な状況が続くことが見込まれるのであれば、「事業そのものを止める」というのも一つの選択肢となりうるでしょう。
  • 支払いよりも入金を先にする、前金をもらう、短期借入をする

    入金出金の時間差に起因する資金繰り問題を対処するには、

    ・支払いよりも入金を先にする
    ・受注から納期までが長期に及ぶ場合には前金がもらえるよう交渉する
    ・金融機関から短期借入をする

    といった対応が適切です。

    特に金融機関からの借入は普段から定期的に月次試算表を提出しコミュニケーションをとっていれば、より円滑に進むでしょう。
  • 現状把握する

    ますは、今どれだけ回収できていない売掛金があるか、余剰在庫があるか、現状把握が必要です。
    (そのためには、毎月タイムリーな月次損益とキャッシュフローの把握が欠かせません。)

    現状を把握したら、

    売掛金の入金遅延については再請求・入金催促・内容証明の送付

    在庫については値下げして販売する、廃棄(管理コスト削減)

    し、早期にキャッシュの回収をすることが資金繰り改善につながります。

まとめ

資金繰りは事業者共通の悩みです。

どのような対策を取ればよいかは、資金繰りが悪化する原因により対応法が異なります。

努力の方向性を間違わないためにも現状を把握することが必要です。

タイムリーな月次損益とキャッシュフローを把握することが、資金繰り改善の第1歩となります。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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