コロナのゼロゼロ融資よりも資本性劣後ローンの方がリスクがある【貸手の立場から考える】

新型コロナ禍で企業を下支えするために、政府は3年前にゼロゼロ融資制度を展開しました。

ゼロゼロ融資とは、無利子無担保で借入ができる制度です。
(実際の所、利子の支払いはありますが、利子補給金として利子相当額が補助される仕組みです)

ゼロゼロ融資と並行して、資本性劣後ローンという融資制度も利用されていました。

資本性劣後ローンとは、通常の借入に比べて利率は高く設定されていますが、

・融資審査の際は、財務諸表上負債ではなく資本として見てくれる

・元本の返済は期日一括

という借手にとってありがたいメリットがあります。

しかし、貸手側から考えると、この資本性劣後ローンは貸付リスクが高いです。

今回はコロナのゼロゼロ融資よりも資本性劣後ローンの方がリスクがあることを貸手側の視点から書いていきます。

元本の回収は期日に一括がネック

貸手側の立場から考えると、資本性劣後ローンのリスクが最も高い理由として、元本の回収が期日一括であることです。
(もちろんその分利率は高く設定してありますが)

そして期日は貸付日から最長20年。

20年もの間、返済が開始されないため、どのように返済能力の評価していくかは難しいところです。

現状返済できなくても、20年後に返済できるキャッシュがあれば問題ないのですが、20年後どうなっているかはわかりません。
(1年後でさえ不透明です)

そのため、返済が開始していくゼロゼロ融資と比べて、元本回収できない時の損失は大きなものとなるでしょう。

他の債権に比べて返済が劣後する

貸手側の立場から、資本性劣後ローンのデメリットとして、他の債権に比べて返済が劣後することです。

仮に企業が倒産して、取引先への支払債務や従業員給与の未払債務がある場合、資本性劣後ローンの債権回収はこれらの債権より後回しになります(劣後します)。

したがって、企業が倒産した場合には、回収できないものとして考えた方が良いでしょう。

おわりに

今回はコロナのゼロゼロ融資よりも資本性劣後ローンの方がリスクがあることを貸手側の視点から書いてきました。

借手にとっては、メリットの方が大きい融資制度ですが、反面、貸手は多大なリスクを背負い込んでいます。

現在、企業の倒産件数も前年比で増えてきているので、今後の推移を注視していきたいです。
(信用保証協会が全ての損失を補填できるとは到底考えられません)

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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