赤字の会社に社長個人の資金を入れたままにしていると相続財産になるので注意

赤字の会社(ここでは債務超過(資産より負債が多い、つまり純資産がマイナスの状態である)の会社をいいます)の社長の方で資金繰りの都合上、社長個人の資金を会社へ入れることがあります。

しかし、その個人資金は会社への貸付金として取り扱われ、社長に相続が発生した時に相続財産として相続税の対象となります。
(債権者と債務者の裏表の関係です。債権者は社長で債務者は会社です)

逆に会社のお金を社長の個人的な支出で使用した場合、会社からの借入金(会社からすると社長への貸付金)として取り扱われます。
(この場合、債権者は会社で債務者は社長です)

債務超過である会社から、社長個人の資金を回収することは簡単ではありません。

しかし、会社への貸付金(会社からすると借入金)が相続税の対象となることは避けたいもの。

どうすればいいか。

会社が債務超過である場合には、債務免除と欠損金を利用します。

まず社長が会社に入れているお金の返済を免除します。

債務免除をすると債務者である会社は返済が免除されると同時に、免除益として利益が発生します。

利益に対しては税金がかかってしまいます。

しかし債務超過であれば、会社は欠損金を保有している場合が多いです。

欠損金とは、簡単にいうと過去の10年以内に生じた損失と利益を相殺できる制度です。

例えば、3年前に800万円の損失が生じた場合には、当期500万円の利益が出たとしても、過去の損失である800万円と相殺され、利益に対し税金がかかりません。

欠損金を利用すれば会社としても免除益に対し税金がかかりませんし、将来発生する社長の相続税対策にもなります。

特に欠損金の繰越期限(10年)が迫っている期については、社長個人の会社に対する貸付金の債務免除を検討する価値があります。

ただし注意点として、その会社の株主に社長以外の株主がいる場合です。

債務免除益により会社の純資産が増加することがあるため、その価値の増加分が債務免除をした社長から他の株主への贈与と見なされる場合がありますので、注意が必要なところです。

-----------------------------------------------------------
都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

ホームページ(Home) 
プロフィール(Profile)
ブログ(Blog)
個人の方(料金表)(Individual-fee)
法人の方(料金表)(Corporate-fee)
お問い合わせ(Contact)