インボイス制度開始後に消費税を原則計算により経理する場合に最も重視すること【インボイスの経理がめんどくさいと思われる方向け】
今月よりインボイス制度が開始しました。
・従来から消費税の課税事業者であった方
・インボイス制度開始とともに免税事業者から課税事業者になった方
がいると思います。
売上規模が1,000万円以下であれば2割特例が使えるので、原則計算に比べると集計の手間は格段に減ります。
(売上規模が5,000万円以下であれば簡易課税も適用可能です)
しかし、売上規模5,000万円を超える場合には2割特例や簡易課税を選択することができないため、消費税の計算方法は原則計算のみになります。
今回はインボイス制度開始後に消費税を原則計算により経理する場合に最も重視することについて書いていきます。
請求書領収書にインボイス登録番号が記載されているかが最も重要
消費税の原則計算とは、売上に含まれる消費税から仕入経費の支払に含まれる消費税を差し引いた金額により納税額を計算します。
消費税の計算上、売上に係る会計上の処理については、従来から課税事業者である場合には、インボイス開始前後で変更はありません。
(適格請求書の記載要件を満たして、相手方に発行することのみです)
問題となるのは、仕入経費に係る会計上の処理。
取引先がインボイス登録事業者か否かを判断することになります。
取引先がインボイス登録事業者である場合には、従来通りの会計処理で変更はありません。
(仕入税額控除100%)
ただし、取引先がインボイス登録事業者でない場合には、会計処理に変更があります。
(仕入税額控除の金額が100%→80%)
加えて、税込1万円未満の支払いであれば、インボイス登録番号の記載がなくても100%仕入税額控除ができる特例があります。
(売上規模1億円以下の事業者限定)
この2つの変更点をまとめると、
・請求書領収書の記載金額が1万円未満か
と判定した後に、
・インボイス登録番号の記載があるか、ないか
を判定し、仕入税額控除の100%か80%を選択することになります。
しかし、「請求書領収書の記載金額が1万円未満か」という判断の工数が一つ増え、取引量が多ければ多少なりとも負荷がかかってしまいます。
・インボイス登録番号の記載があるか、ないか
を月次ベースの判断基準として、消費税の会計処理(仕入税額控除100%又は80%へ振り分け)をし、
決算時に、
・インボイス登録番号がないもの(80%仕入税額控除と会計処理しているもの)のうち、税込1万円未満のものを一括して抽出し100%仕入税額控除に変換する方が手間としては楽でしょう。
つまりは、請求書領収書にインボイス登録番号があるか、を確認することが消費税の経理上最も重視することとなります。
おわりに
今回はインボイス制度開始後に消費税を原則計算により経理する場合に最も重視することについて書いてきました。
消費税の納税額は一定のルールに従い機械的に算出します。
機械的に判断する場合には、工数変数は少ない方が負荷がかかりません。
特例を自分が経理しやすいように適用するのがよいでしょう。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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