所得控除の判定時期【配偶者控除・扶養控除・ひとり親控除・医療費控除など】
所得税の計算上、課税所得から控除できるものとして、所得控除という区分があります。
社会保険料控除や医療費控除、ふるさと納税のような支払を伴うものについては物的控除。
配偶者控除や扶養控除、ひとり親控除のように関係性に伴うものについては人的控除。
という区分けがされます。
今回は、それぞれの控除についての判定時期について書いていきます。
物的控除の判定時期
物的控除を受けるにあたり、
・サービスを受ける時期
・支払う時期
のタイミングがずれることがあります。
特にそれぞれが年をまたぐ場合には、どの年に帰属する支出か判断に迷う場合もあるでしょう。
物的控除の支出の判定方法は、
支出をした日がいずれの年に属しているか
で判定します。
例えば、2022年12月分の医療費を翌年2023年1月に支払う場合には、2023年の医療費控除の対象となります。
人的控除の判定時期
人的控除の種類は下記の通りです。
1.年齢と所得と同一生計が要件のもの
・配偶者(特別)控除
・扶養控除
2.特定の状態と所得が要件のもの
・障害者控除
・勤労学生控除
・ひとり親控除
・寡婦控除
3.所得が要件のもの
・基礎控除
上記1,2について、年齢や特定の状態であることをいつ判定するのかが疑問になるところです。
(年齢、所得、特定の状態についての詳細は割愛します)
人的控除の判定時期は、
・その年の12月31日
・その亡くなった時点
で判定します。
配偶者控除とひとり親控除・寡婦控除が重複適用できる場合
配偶者控除とひとり親控除・寡婦控除は重複適用できるケースがあります。
例えば、両親と子供がいる世帯で、配偶者(所得48万円以下)が年中に亡くなった場合に、ひとり親控除や寡婦控除の適用要件を満たしているとき(適用を受ける本人の所得500万円以下など)には、両方の規定の適用を受けることができます。
配偶者控除については、配偶者が亡くなった時点
ひとり親控除や寡婦控除については、12月31日の時点
で判定するためです。
配偶者と死別後、再婚した場合は配偶者控除は重複適用できる?
レアなケースであると思いますが、年内に配偶者と死別後、他の配偶者と婚姻する場合が考えられます。
その場合、配偶者控除の判定時期として
・前配偶者は亡くなった時点で
・後配偶者は12月31日の時点で
判定するため、重複して適用できるか疑問に思うところではあります。
しかし、法令上は、いずれか一人に限定することと規定しています。
同一人をそれぞれの扶養控除対象としてできるか?
両親と子供がいる世帯では、その扶養対象である子供は両親のうちいずれか一方の扶養親族として取り扱うこととしています。
ただし、年内に配偶者が亡くなった場合には、その限りではありません。
例えば、父Aと母B、子C(扶養控除対象)が同居している世帯で考えてみます。
年内に父Aが亡くなり、父Aの準確定申告で子Cを扶養控除の適用対象者として申告します。
他方、母Bの確定申告で子Cを扶養控除の適用対象者として申告します。
この場合、それぞれにおいて扶養控除の適用が認められています。
おわりに
今回は所得控除のうち、物的控除と人的控除の判定時期について書いてきました。
細かい論点の部分ですが、うっかりしていると見逃してしまう規定ですので、注意が必要な所です。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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