取引先に経費を立て替えてもらった場合のインボイス対応はどうする?【原則計算により仕入税額控除をするための対応方法】
取引の性質上、取引先に経費を立て替えてもらうケースは少なくありません。
立て替えた際に支払先から交付されるインボイスには、通常支払者(経費を立て替えた者)の名称が記載されます。
この交付されたインボイスでは、立て替えてもらった者においては、支払者の宛名が異なるためインボイス要件を満たさず、消費税の原則計算上仕入税額控除をすることができません。(ただし経過措置により8割控除は可能)
では立替経費について仕入税額控除を適用するにはどうすればいいのでしょうか。
今回は取引先に経費を立て替えてもらった場合のインボイス対応について書いていきます。
立替金精算書に立て替えてもらったインボイスのコピーを保存する
経費を立て替えてもらった者において、消費税の仕入税額控除を適用するためには、支払者(経費を立て替えた者)から交付された立替金精算書にその立て替えてもらったインボイスのコピーを保存することが要件となります。
この場合、保存するインボイスについては宛名が支払者(経費を立て替えた者)のもので問題ありません。
また、立替経費が3万円未満の電車やバスなど(タクシーを除く)の公共交通機関に係るものである場合にはインボイスの保存は必要ありません。
立替経費が多い場合には立替金精算書のみの交付でもOK
立替経費が数か所の支払先であればインボイスのコピーの手間はさほどかかりません。
しかしコピーが大量になる場合には、立替精算書のみの交付でも仕入税額控除が可能です。
ただし要件として、
・支払者(経費を立て替えた者)がインボイスの保存をする
・立替金精算書にインボイスの要件を満たす事項を記載する
(立替経費支払先の名称及び登録番号、日付、取引内容、税抜又は税込額と適用税率、消費税額、立て替えてもらった者(立替金精算書の交付先)と立て替えた者の名称)
ことを満たすことが必要です。
立替経費の支払い先が継続取引である場合には、別途契約書や書面において支払先の名称や登録番号を付記することで、立替精算書の補完資料として使用し、トータルでインボイス記載要件を満たすこともできます。
おわりに
今回は取引先に経費を立て替えてもらった場合のインボイス対応について書いてきました。
なお今回ご紹介した対応法は、消費税納付額を原則計算する場合に立替経費につき仕入税額控除を適用するためのものです。
自社の消費税の納付額計算上、
・簡易課税
・2割特例
を適用する場合には、この限りではありません。
(インボイス導入前後で対応法は変わりません)
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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