退職金は確定申告しなければならないか?【所得制限のある制度を適用する場合には注意が必要】
退職金は原則として支払い時に源泉徴収がされるため、確定申告が不要です。
しかし、給与年金や事業・不動産所得などの確定申告をするにあたり所得制限のある制度を適用する場合には、退職所得について申告が必要になるケースがあります。
(所得制限の判定に使用する合計所得金額は、退職所得を含めて計算するためです)
今回は、
・本人に係る所得制限
・扶養される者に係る所得判定
・退職所得を申告すると有利な場合
に分けて書いていきます。
本人に係る所得制限
下記の制度を適用するにあたり、他の所得と退職所得の合計がそれぞれの所得制限を超える場合には、他の所得と合わせて退職所得の確定申告をする必要があります。
下記それぞれの制度の適用の条件となる合計所得金額が基準を上回ると一定の適用制限がかかるためです。
ただし、退職所得と他の所得の合計が下記の所得制限以下であれば、退職所得を申告不要としても差支えありません。
(税額計算上の影響は出ないため)
・公的年金等の控除額(合計所得金額1,000万円超)
・基礎控除(合計所得金額2,400万円超)
・配偶者控除、配偶者特別控除(合計所得金額900万円超)
・ひとり親控除、寡婦控除(合計所得金額500万円超)
・住宅ローン控除(合計所得金額2,000万円超)
扶養される者に係る所得判定
扶養される者の所得判定をするにあたっては、特段退職所得の確定申告は不要ですが、下記の制度の適用にあたっては、扶養される者の退職所得を含めた合計所得金額を計算することは必須です。
退職所得を含めた合計所得金額が下記の金額を上回る場合には、下記制度を適用することができません。
・障害者控除(合計所得金額48万円超)
・配偶者控除(合計所得金額48万円超)
・配偶者特別控除(合計所得金額133万円超)
・扶養控除(合計所得金額48万円超)
・ひとり親控除(総所得金額48万円超)
退職所得を申告すると有利な場合もある
所得控除や税額控除の寄附金控除の金額の計算に使用する寄付金の額は総所得金額の40%を限度としています。
つまり支払った寄附金が総所得金額の40%を超える場合には、退職所得を申告し総所得金額を増やすことで、寄附金控除の対象となる寄付金の金額幅を広げることが可能です。
おわりに
今回は退職金は確定申告しなければならないか、について書いてきました。
所得制限のある制度を適用する場合には退職所得の金額も考慮することが不可欠です。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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