山林所得の経費が概算で計算できるケース

保有期間5年を超える山林を伐採又は譲渡した場合には、山林所得として課税されます。
(保有期間が5年以下であるときは規模に応じて事業所得又は雑所得として課税)

山林所得の金額は、下記の算式により計算します。

総収入金額ー必要経費ー特別控除額(50万円)
(青色申告である場合には、さらに青色申告特別控除(10万円))

総収入金額は、譲渡対価、売却金額が該当します。

必要経費については、譲渡時にかかった費用(伐採費・運搬費・仲介手数料)のみならず、

植林費、育成費、維持管理費など、

譲渡するまでにかかった費用の総額が経費となります。

過去にかかった経費をまとめて譲渡時に計上する点が山林所得の計算の特徴です。

しかし、育成から譲渡までの期間は相当年数かかることが通常です。

過去の支出金額の記録や書類が紛失していることもありえます。

また、20年前に支払った100万円と現在支払う100万円では貨幣価値に変化があるため、

適正に所得金額が算出されない恐れがあります。

・記録や書類の紛失

・貨幣価値の変化

に対応するため、一定の条件を満たした場合には、経費を概算計算する制度があります。

概算経費の内容

山林所得の計算において、下記の算式により経費を計算することができます。

(収入金額ー伐採時の譲渡費用)×50%+伐採時の譲渡費用

簡単にいうと収入金額の50%を概算経費として計算する形です。

ただし伐採時の譲渡費用は除きます。

理由としては、

伐採時の譲渡費用は譲渡年の支出であるため、

・記録が残っている可能性が高い

・貨幣価値の変動を考慮する必要がない

ことから概算計算の対象から外し、実額を経費として加算します。

適用要件

譲渡年の15年前の年の12/31以前から引き続き所有している山林が対象となります。

例えば2025年に伐採・譲渡している場合には、2010年12月31日以前から譲渡した山林を所有していることが要件となります。

おわりに

今回は山林所得の経費が概算で計算できるケースについて解説しました。

執筆時点では過去と比較して物価が高騰しているため、概算経費による方が所得計算上有利に働くケースが多いでしょう。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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