事務所兼用の居住用建物を譲渡した時の取得費計算の特例
居住用建物の一部を事務所として使用しているケースがあります。
その建物を譲渡したときの譲渡所得上の取得費の計算は原則として、
・事業用部分(未償却残高、償却費は各年の事業所得の必要経費として計上済)
・居住用部分(取得価額から減価の額を控除した金額)
に分けて計算します。
ただし、その建物の居住用部分が90%以上である場合には、
全体を居住用建物として取得費を計算することができます。
例えば、
・取得価額1億円の木造建物
・事務所利用部分10%(耐用年数24年)
・居住利用部分90%(耐用年数22年)
・所有期間15年
を譲渡したときの取得費を考えます。
事務所利用・居住利用部分を按分して計算する場合
1.事務所利用部分の取得費
1億円×10%=1,000万円
(取得価額の按分)
1,000万円×0.042×15年=630万円
(減価償却費累計額の計算)
1,000万円-630万円=370万円
(未償却残高)
2.居住利用部分の取得費
1億円×90%=9,000万円
(取得価額の按分)
9,000万円×0.9×0.031×15年=3,766.5万円
(減価の額の累計額)
9,000万円ー3,766.5万円=5,233.5万円
(差引)
3.1+2=5,603.5万円
全体を居住利用として計算する場合
1億円×0.9×0.031×15年=4,185万円
(減価の額の累計額)
1億円ー4,185万円=5,815万円
(差引)
全体を居住利用として計算した方が有利な理由
居住用建物の取得費計算では、当初取得価額から減価償却に相当する減価の額を控除します。
この減価の額は、
・旧定額法(取得価額に0.9を乗じてから償却率を乗じる)
・耐用年数を1.5倍
で計算するため、通常の減価償却よりもゆるやかな償却となります。
そのため同じ建物であっても、取得費計算上は建物全体を居住利用として計算した方が有利になります。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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