法人の割賦販売の延払基準経過措置が終了するので資金繰りに注意【2023年4月1日以後開始事業年度から】

少し前ですが、新しい収益認識会計基準が導入されたことにより、平成30年度税制改正大綱にて、長期割賦販売の延払基準の廃止が決定しました。

長期割賦販売の延払基準とは、分割払いの商品を販売した場合には、割賦金の回収期限が到来している部分のみ売上として計算することができる制度です。
(本来は販売時に商品代金全額を売上として計上しなければなりません)

要件は、
・支払期間が長期(2年以上)
・頭金が2/3以下
・支払回数が3回以上
です。

上記のような割賦契約は、商品を販売したとしても、現金の回収期間が長期となります。

販売時に売上として全額計上してしまうと、現金を回収する前に、売上全額に対して先行して税金がかかってしまい、資金繰りが回らなくなります。

そこで、従来は割賦金の回収期限が到来する部分を売上として計算することが認められていました。

経過措置は2023年4月1日以降開始事業年度で廃止

改正の影響度が配慮され、経過措置が設けられました。

原則としては、2018年4月1日以降から延払基準の適用が廃止となっています。

しかし、経過措置として、2018年4月1日前に延払基準を適用していた場合には、2023年3月31日以前に開始する事業年度まで、延払基準の適用が認められることとなりました。

つまり本年2023年4月1日以降に開始する事業年度については、延払基準の適用ができなくなります。

なお、法人税と同様に消費税についても延払基準が適用できなくなるのも、資金繰りの負担となるところです。

延払基準の適用廃止の対応策

事業年度を変える

2023年3月31日までの日を事業年度の開始日を設定すれば、あと1年ほど延払基準の適用ができます。
(例えば、事業年度を3月30日で締める)

しかし問題の先送りであり、根本の解決にはなりません。

時間稼ぎをしている間に、別の対応策を考える必要があります。

資金繰りが回るまでの間、借入を増やす

割賦売上がある程度毎年一定で、割賦金の回収期間が3年程度であれば、延払基準を適用しなくなって3年が経てば、納税の資金繰りが回り始めます。

それまでの間は、売上に対して納税が先行するので借入をして資金手当をすることが望ましいでしょう。

頭金を増やす、回収期間を短縮する(割賦販売の仕組みを変える)

頭金を増やすこと、回収期間を短縮することで、現金の早期回収で見込めます。

納税資金の手当も早めにできます。

しかし、頭金が増えること、毎月の支払が多くなることは、購買意欲への影響が避けられません。

値付けと資金繰りのバランスを考えていくことが必要でしょう。


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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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