非上場株式を発行法人へ譲渡することにより所得税の節税をし、相続税の納税資金を捻出することができる特例

非上場株式を発行法人へ売却した場合、譲渡対価は、

・出資の払い戻し(株式分離譲渡(15%))

・みなし配当(総合課税(5%ー45%))

部分に分かれます。

配当部分は総合課税累進税率となり、通常譲渡対価が大きければ大きいほど納税額が増えます。

しかし、相続で取得した非上場株式を相続開始から3年10ヶ月以内に譲渡した場合には、みなし配当がないものとして取り扱うことができ、譲渡対価の全てを株式分離譲渡(15%)とすることができる特例があります。

この特例を使えば、所得税を節税して、相続税の納税資金を発行法人から捻出することができます。

対象となる者

下記の全ての要件を満たす者が対象です。

・非上場株式を取得した相続税の申告で相続税が課税されている

・相続があった日から3年10ヶ月以内に発行法人へ売却している

特例を受ける効果

・非上場株式を発行法人へ譲渡した対価の全てが、みなし配当部分も含めて株式の譲渡所得に係る収入として計算できます。
(分離課税で所得税率15%)

・非上場株式を取得した相続で支払った相続税のうち、非上場株式部分に相当する相続税を取得費に加算して、収入金額から控除することができます。

手続き

非上場株式の譲渡者側と発行法人側でそれぞれ手続きがあります。

1.非上場株式の譲渡者側の手続き

相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」をその発行会社へ譲渡する日までに提出する。

確定申告書に「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」を添付して税務署へ提出する。

2.発行法人側の手続き

非上場株式の譲渡者より受け取った「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」を非上場株式を譲り受けた日の属する年の翌年1月31日までに税務署へ提出する。

かつ当該届出書の写しを5年間保存する。

おわりに

今回は非上場株式を発行法人へ譲渡することにより所得税の節税をし、相続税の納税資金を捻出することができる特例について書いてきました。

相続税の納税資金を捻出するだけでなく、分散した株式を発行法人へ集約するための方法としても有効です。

ぜひご検討ください。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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