海外勤務する従業員の出国直後と帰国直後に支払う給与の課税範囲の注意点
従業員が1年を超えて海外で勤務する時には、出国の日の翌日から「非居住者」となります。
反対に海外の勤務期間を終えて、日本へ帰国する時には、入国の日の翌日から「居住者」となります。
給与支払金額の計算上、出国日や帰国日を含む計算期間については、それぞれ日本国内勤務部分と日本国外勤務部分の両方が含まれることになります。
しかし、出国直後と帰国直後に支払う給与については、それぞれ課税範囲が異なります。
今回は、出国直後と帰国直後に分けて説明していきます。
出国直後
1.原則
例えば、給与金額60万円、給与の計算期間を9/21-10/20、給与支払日を10/25、出国日を9/30とします。
この場合、従業員は10/1から「非居住者」になります。
したがって、給与金額60万円のうち、9/21-9/30(10日間)の日本国内勤務部分を日数按分計算した金額(60万円×10日/30日=20万円)が国内源泉所得として課税(源泉税20.42%)されます。
2.例外
・給与計算期間の中途に出国している(計算期間に国内勤務部分と国外勤務部分が含まれている)
・給与計算期間が1ヶ月以内
に該当する場合には、その給与は国内源泉所得に該当しないものとして差し支えありません。
(賞与の場合は、計算期間が1ヶ月を超えることがほとんどであるため、例外規定の適用はありません)
したがって、上記の例は例外要件を満たしているので、給与金額60万円の全額が日本国内で課税されないものとして取り扱うことができます。
ただし、給与計算期間が全て国内勤務部分である場合には、出国後に支払われたものであっても、日本国内で課税(源泉税20.42%)されます。
帰国直後
例えば、給与金額60万円、給与計算期間を9/21-10/20、給与支払日を10/25、入国日を9/30とします。
この場合、従業員は10/1から「居住者」になります。
居住者である場合には、国内源泉所得も国外源泉所得も課税の対象になります。
(非居住者期間である9/21-9/30に係る給与も日本国内で課税されます)
したがって、給与金額60万円全てが居住者として源泉徴収の対象となります。
(出国直後の時のような例外はありません)
また、帰国後に海外勤務中の現地所得税を従業員へ支給した場合には、たとえ海外勤務に係るものであったとしても、居住者として源泉徴収の対象となります。
おわりに
今回は海外勤務する従業員の出国直後と帰国直後に支払う給与の課税範囲の注意点について書いてきました。
細かい論点ですが、源泉所得税の税務調査時には確認される事項ですので、注意が必要です。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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