推定相続人に海外在住者がいる場合には遺言書を作成しておいた方が良い理由

自身が亡くなる前に遺言書を作成するか悩まれる方もいるでしょう。

・全て手書きでなければならないのか

・作成した後修正することはできるか

・保管方法はどうするのか

など疑問がつきません。

遺言書の作成法は、

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・秘密証書遺言

の3種類あります。

それぞれの方式で手間や費用面でメリット・デメリットがあります。
(詳細は割愛します)

作成される場合には、ご自身の状況に合わせてそれぞれ適した方法を選択されるのがよいでしょう。

今回は相続手続き面にスポットを当てて、推定相続人(将来相続人となる見込みである人)に海外在住者がいる場合には遺言書を作成しておいた方が良い理由について書いていきます。

日本で印鑑証明書が取得できない

推定相続人の中に海外在住者がいると、日本で印鑑証明書を取得できない場合があります。

特に相続人が海外転出届を提出し、日本に住民票がない場合です。
(日本国内に住民票を残していれば、たとえ国外で居住していても印鑑証明書の取得は可能です)

なぜ印鑑証明書がとれないと大変かといいますと、

相続税の申告する際に必ず添付するものが、

・遺言書

・遺産分割協議書

のいずれかです。

・遺言書は亡くなる方(被相続人)が生前に作成するもの

・遺産分割協議書は亡くなる方の相続人が作成するもの

です。

遺産分割協議書については、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になります。

ここで印鑑証明書が問題となります。

日本に住所がある場合は、区市町村役所で発行することができます。

しかし、海外転出届を提出して住所がない場合には発行できません。

どうするかというと、相続人が居住している国の在外公館にてサイン証明書(署名証明書)を取得します。

サイン証明書の種類は、

・貼付型
(遺産分割協議書を在外公館へ持参してサイン証明を受ける方法)

・単独型
(印鑑証明書のように紙ベースで発行される方法)

の2種類あります。
(不動産の相続登記には貼付型が必須です)

いずれの方法でも一定の手間と時間はかかってしまいますので、手続きにはゆとりをもって対応しなければなりません。

例えば、被相続人が亡くなり、相続財産債務をすべて洗い出した後、相続人間で分割協議がまとまるとします。

いざ分割協議書を作成しようとしたときに、相続人の中に海外在住者がおり、印鑑証明書が発行できないことを相続申告期限前に知る、なんてケースもありえます。

相続人が少数(1-2名)で遺産分割が円滑にいく見込みであるような場合には、事前に遺言書を作成するメリットは十分あるかと思います。

後々の手続きが簡素化されます。
(遺言書作成の手間はありますが)

おわりに

今回は、推定相続人に海外在住者がいる場合には遺言書を作成しておいた方が良い理由について書いてきました。

相続税の申告には、

・遺言書

・遺産分割協議書

のいずれかが必須ですので、

ご自身や相続人の状況に合わせた選択をされることをおすすめします。
(相続人に海外在住者がいる場合には要注意です)


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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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