生活に通常必要な資産・必要でない資産の所得税法の取り扱い

所得税法上、

・生活に通常必要な資産

・生活に通常必要でない資産

との間では所得税法上の取り扱いが異なります。

生活に通常必要な資産の取り扱い

生活に通常必要な資産とは、

・家財

・衣類

・宝石や美術品などのうち時価が30万円以下

など日常生活で一般的に使用されるものをいいます。

1.譲渡した時

  譲渡益は非課税で、譲渡損はないものします。
  (フリマアプリで家財や衣類を売却したときなど)
  
  通常家財や衣類は使用していくにつれ、価値が下落します。

  譲渡した場合には譲渡損になるケースが多いでしょう。
  (譲渡損を内部通算や他の所得と損益通算できない点を考えると、納税者にとっては不利ですね)

2.災害・盗難・横領による損失

  損失時の資産の時価をベースとして損失額を計算し、雑損控除(所得控除)を適用します。
  
  損失年に控除しきれない場合には、翌年以後3年間損失を繰り越すことができます。

  本人の同一生計親族(所得が基礎控除(48万円)以下)が損失を受けた場合にも適用可能です。

生活に通常必要でない資産の取り扱い

生活に通常必要でない資産とは、事業ではなく趣味や娯楽を目的として所有する下記の資産などをいいます。

・別荘などの不動産

・競走馬、クルーザー、グランドピアノなどの動産

・宝石や美術品などのうち時価が30万円を超えるもの

1.譲渡した時

  譲渡益は課税、譲渡損を認識します。

  譲渡損は譲渡所得内で内部通算はできますが、他の所得との損益通算はできません。
  (ただし、競走馬に係る譲渡損失は、その競走馬の保有に係る雑所得から控除できます(他の雑所得とは通算不可))

2.災害・盗難・横領による損失

  資産の取得費相当額(原価)ベースで損失額を計算し、総合譲渡所得から控除します。
  (別荘などの不動産に係る損失についても、総合譲渡所得から控除します)

  損失年に控除しきれない損失額については、翌年の総合譲渡所得から控除することができます。

まとめ

以上の取り扱いを表にまとめました。

生活に通常必要な資産生活に通常必要でない資産
譲渡益非課税課税
譲渡損ないものとする譲渡損を認識
同所得区分の内部通算なしできる
他の所得区分と損益通算なしできない
(ただし競走馬例外あり)
災害・盗難・横領による損失雑損控除(所得控除)を適用
(控除しきれない損失は翌年以後3年間繰越可)
総合譲渡所得から控除
(控除しきれない損失は翌年1年繰越できる)

所得税は法人税と異なり所得区分や損益の取り扱いが多岐にわたりますので、正確な理解が欠かせません。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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