借地権の設定の際に取得した権利金は不動産所得?譲渡所得?

土地を賃借するときに、借地権を設定することがあります。

その際に収受する権利金の所得区分は譲渡所得と不動産所得のいずれに該当するのでしょうか?

譲渡所得に該当する場合

収受した権利金が下記のいずれにも該当する場合には、譲渡所得として計算します。

・建物や構築物の所有を目的とする借地権の設定

権利金の額(返還されない保証金・特別の経済的利益※を含む、以下同じ) > その土地の更地価額(不明の場合は地代年額の20倍と推定) × 5/10


※特別の経済的利益とは、多額の保証金(おおむね地代の3か月分を超える金額)を預かっている場合の利息相当の利益をいいます。

例えば、30年間の借地権設定に伴い、権利金10,000,000円のほかに保証金を5,000,000円(無利息)で預かったとします。

この保証金については、通常利息は発生しませんが、利息があるものとみなして計算します。

利息相当の計算方法は、30年後に利息と元本の合計5,000,000円を受け取るものとして考えます。

計算式は、

・保証金 ×(1-複利現価率※)

です。

例えば複利0.5%とすると、30年複利現価率0.861ですので、

求める特別の経済的利益は、

5,000,000円 ×(1-0.861)= 695,000円

となります。

この金額が意味するところは、

・借地権設定時に受け取った保証金5,000,000円の内訳は、

・元本4,305,000円をと30年分の利息695,000円の前受金

と認識します。

不動産所得に該当する場合

下記のいずれかの要件を満たす場合には、不動産所得に該当します。

・権利金の額 ≦ その土地の更地価額 × 5/10

・権利金の額 > その土地の更地価額 × 5/10 であっても、建物や構築物の所有を目的としない借地権の設定
(例えば建物や構築物の所有を目的としない単に資材置き場として使用する場合には、譲渡所得に該当せず不動産所得になります)

※不動産所得に該当する場合には、特別の経済的利益は収入には計上しません。
(判定式では考慮しますが)

事業所得や雑所得に該当する場合もある

借地権の設定に伴う権利金の収入が譲渡所得に該当するものとして判定されたとしても、借地権の設定が継続的に行われる場合には、事業所得又は雑所得に区分されます。

おわりに

今回は借地権の設定により取得する権利金の所得区分について解説しました。

個人の所得区分の判定の際には、入口を間違えないために、基礎知識を身に付けておくことが必須です。

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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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