相続税の障害者控除適用の扶養義務者の範囲【同居や生計一でなくても良い】
相続税の計算上、算出された相続税から一定の額を控除できる規定がいくつかあります。
(税額控除と呼ばれています)
その中の一つが、障害者控除です。
障害者控除とは、相続等により財産を取得した障害を持つ者(法定相続人に限ります)の相続税額から、85歳に達するまでの年数1年につき10万円の控除(特別障害者に該当する場合には20万円)を受けることができます。
(※特別障害者とは身体障害者手帳1級又は2級、精神障害者手帳1級を所持している方を指します)
例えば財産を取得した時に60歳であるとすると、障害者控除の金額は
100,000×(85歳-60歳)=2,500,000円
となります。
この障害者控除の金額が本人の相続税額で控除しきれない場合があります。
(例えば、本人の相続税額が1,000,000円、障害者控除の金額2,500,000円)
この引ききれない部分については、その者の扶養義務者の相続税額から控除することができます。
ここで、この扶養義務者の範囲はどこまでなのでしょうか。
扶養義務者の範囲
相続税法上の扶養義務者の範囲は、
・配偶者
・直系血族
・兄弟姉妹
・家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
(通達においては、三親等内の親族で生計を一にしている場合には、家庭裁判所の審判がなくても、扶養義務者に該当すると規定されています)
を指します。
基本的に上記の4つに該当する場合には、扶養義務者に該当します。
同居や生計一であることは要件とされていない
税法上の優遇規定については、同居や同一生計が要件とされている規定があります。
しかし、この障害者控除については、扶養義務者であれば、本人の相続税額から引ききれない障害者控除の金額について、控除することができます。
つまり、同居や生計一であることは要件とされていません。
(ただし、家庭裁判所の審判を受けていない三親等内の親族である場合には生計が一であることが要件になります)
例えば、相続人である兄弟姉妹の間に一人障害者控除の適用対象者がいる場合、その本人の相続税額から障害者控除の金額を全額引ききれないときは、他の兄弟姉妹の相続税額から無条件で引ききれない部分を控除することができます。
おわりに
今回は、相続税の障害者控除適用の扶養義務者の範囲について解説しました。
扶養義務者という言葉から、同居や生計一が要件とされてることが想起されます。
時には、税法に立ち戻り条文内容を確認する機会が必要です。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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