社長個人が名義株を個人から購入する場合の価格は?
株式会社を設立する場合、以前は取締役3名監査役1名を選ぶことが必要でした。
(現在は取締役1名で設立可)
その際に、親族や知人に名義を借りたケースもあるでしょう。
いずれ名義株は名義人の相続人が引き継ぐことになってしまいます。
そうなる前に事前に手を打つ必要あります。
名義人の協力が得られれば問題ありませんが、買い取りを求められる場合もあるでしょう。
今回は名義株の買い取り価格をいくらにするのがよいか書いていきます。
原則評価か配当還元方式か
個人から株式を買い取る価格の算出方法として、
・原則評価
・特例評価
の2つがあります。
2つの価格を比較した際、特例評価の方が価格が低いです。
特例評価は、少数株主であったり役員として経営に関わっていない場合に適用されます。
(株主としての権利が弱いためです)
具体例
今回のケースは社長が50%超の株式を持っている場合について検討していきます。
社長が50%超の株式を持っている場合には、社長の株式評価は原則評価になります。
(父母、祖父母、兄弟姉妹も同様です)
他方、社長から少し遠い親戚(たとえば叔父・叔母・従兄弟)が所有する名義株が
・株式数5%未満
・その会社の役員でない
場合には、特例方式で評価されます。
また、親族関係が全くない知人が所有する名義株は、無条件で特例方式で評価されます。
売り手と買い手で時価が異なる場合
名義株の価格設定をする際に悩ましいのが売り手と買い手で価格が異なる場合です。
たとえば、
・売り手である叔父叔母の場合には、特例方式を採用
・買い手である社長の場合には、原則評価を採用
のようなケースです。
この整合性をどう取るかというと、
それぞれの立場で評価額を認識することになります。
具体例として、
社長(原則評価)が叔父(特例方式)より名義株を買い取るとします。
(名義株の評価:原則評価50,000円 特例方式1,000円)
・1,000円で買い取る場合
社長側 50,000-1,000=49,000(受贈益)
叔父側 1,000-0(取得価額)=1,000(譲渡益)
社長側は評価額50,000円の株を1,000円で取得することができたので、差額が叔父からの贈与として課税されます。
・50,000円で買い取る場合
社長側 課税なし
叔父側 50,000-0(取得価額)=50,000(譲渡益)
社長側は評価額50,000円の株を同額で取得したので、贈与による課税はありません。
つまり名義株を社長が買い取る場合には、社長側の評価額により価格設定しなければ課税されます。
まとめ
株式は価格が一義的でありません。
売り手、買い手がどのような条件かにより、価格も変わってきます。
根拠がない価格の設定は課税リスクがあります。
名義株を買い取る場合の価格設定には注意が必要です。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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