評価乖離率が0又はマイナスになった場合には評価額はどうなる?【居住用分譲マンションの評価】

相続税又は贈与税の計算における一定の居住用分譲マンションの評価については、

・通常の評価額

・理論上の時価

を計算し、その乖離が一定の割合を超えていると調整計算を行います。
(詳細は下記のリンクをご参照ください)

評価方法の改正の影響を受ける居住用分譲マンションの範囲は?

居住用分譲マンションの評価の調整算式が意味しているもの

この判定の過程の中で、評価乖離率を計算します。

この評価乖離率が0やマイナスになった場合には、どのように評価するのでしょうか。

原則として評価額0として評価

評価乖離率は下記の計算式で計算します。

評価乖離率=A+B+C+D+3.220

A:築年数×△0.033

B:総階数÷33×0.239

C:所在階×0.018

D:敷地利用権の面積÷専有部分の面積×△1.195

ここで評価乖離率が0やマイナスになるためには、

A:築年数×△0.033

D:敷地利用権の面積÷専有部分の面積×△1.195

の値が高いことを意味します。

つまり、

・築年数が相当年数経過している

・専有部分の床面積に対して敷地利用権の面積が広い
 (建物の敷地面積よりも敷地の方がより広い)
 →都心部より地方に所在する物件

場合には、評価乖離率は0又はマイナスになるケースが出てきます。

この場合については、評価額は0となります。

実際に査定をして評価額が算定されたとしても、評価額0として差支えありません。

通達による評価を優先します。

ただし、

一棟の区分所有建物を単独で所有している

・敷地についても単独で所有している

場合については、敷地利用権に係る区分所有補正率(補正前の評価額に乗じる率)の下限は1と定められています。
(実質的に土地を所有していることと差異がないため、補正を行わず通常の評価を行います)

なお、区分所有建物については区分所有補正率の下限がありませんので、評価額が0になるケースがあります。

総則6項の適用はあるか?

ただし、その所有する居住用分譲マンションが、

・補正後の評価額が0に対し、時価が著しく高い

・納税額の負担減少を意図したもの

であれば、総則6項の適用により時価を評価額として認定する可能性はあります。

しかしながら、先ほども触れたとおり、

・築年数が相当年数経過している

・専有部分の床面積に対して敷地利用権の面積が広い
 (建物の敷地面積よりも敷地の方がより広い)
 →都心部より地方に所在する物件

ことが条件であるため、時価と評価額の乖離は限定的であるケースが多いと考えられます。





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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office

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