外国法人の役員(居住者)が国内勤務した場合に受け取る報酬の課税の取り扱いは?
内国法人の役員が国外で役員として勤務した場合に受け取る報酬は、原則として国内源泉所得として日本で課税されます。
反対に外国法人の役員(居住者)が国内勤務した場合に受け取る報酬の課税の取り扱いはどうなるでしょうか。
国内かつ外国の双方で課税されるケースも
日本国内で勤務したことによる給与は国内源泉所得に該当します。
そのため、外国法人の役員であっても、日本国内で勤務したことによる役員報酬は国内源泉所得です。
この役員報酬は所得税の課税対象になります。
一方、その外国法人が例えばアメリカにある場合、つまりアメリカ法人の役員が日本で勤務している場合にはアメリカでも課税対象となります。
一方の締約国(このケースだと日本)の居住者が他方の締約国(このケースだとアメリカ)の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる(日米租税条約第15条)
そうすると、この役員に係る報酬については、日本でもアメリカでも所得税が課税されることになります。
二重課税の対応法は?
ここで、二重課税の問題が生じます。
通常二重課税の対応法は外国税額控除を適用することにより回避可能です。
しかし、問題点が。
日本の居住者が外国税額控除を適用しようとする場合、
外国税額控除の限度額は「所得税額×国外源泉所得の総額/合計所得金額」とされるため、
事実上、その役員報酬が国外源泉所得に該当しない限り外国税額控除の適用を受けることができません。
前述のとおり、日本で勤務している場合の役員報酬は国内源泉所得です。
ただし、外国税額控除の法律において、外国において所得税が課税された所得は外国税額控除の計算において国外源泉所得として扱うこととされています。
外国税額控除に規定する国外源泉所得とは、次に掲げるものをいう。
租税条約の規定により当該租税条約の我が国以外の締約国又は締約者において租税を課することができることとされる所得のうち政令で定めるもの(所得税法第95条4項16号)
法第95条第4項第16号(外国税額控除)に規定する政令で定めるものは、同号に規定する相手国等において外国所得税が課される所得とする。(施行令第225条の13)
そのため、この役員報酬について課税された外国所得税について、外国税額控除が適用可能です。
おわりに
今回は外国法人の役員(居住者)が国内勤務した場合に受け取る報酬の課税の取り扱いについて簡単に解説しました。
ご不明な点や不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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都築太郎税理士事務所/Tsuzuki Taro Tax Accountant Office
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